上映セックション
芸術祭の上映セクションでは、都市開発、原住民、移民、外縁地域、生活をテーマに、世界中の監督による映画、アニメ、ドキュメンタリーを募集し、厳選して、露天と屋内で上映する。
プログラム1(48分)
記憶の道、彷徨う魂
中華街異郷人
Chinatown, Whereabouts Unknown
監督:馮一夫
アニメーション 2分 中国|日本 2022
この作品は、故郷と現在の居場所の記憶を混ぜることで作られた、個人的な記憶や感情に関するアニメーション・ドキュメンタリーである。
So This is What it Feels Like
監督:袁铄涵
短編映画 24分 中国|日本 2023
自身が社会人になって、体験した出来事を自分なりの物語をもう一度再構成した。
初めての冒険に対する不安、予期しなかったことに出会ったパニックや離れてるからこそ感じる現在など、偶然の出会いから見えてくるものに身体、精神はどんな反応をするのをフォーカスしている。自身が持つ性別、国籍だからこそ感じる疑問、違和感に一人の小さなフレームで見た視野をシェアし、自身から他者へ繋がっていく。
ネクストストップ
Next Stop
監督:Florence Weyne Robert
ドキュメンタリー 7分 ポルトガル 2020
リスボンの中心部、タホ川と鉄道に挟まれた小さな廃れた地区は、2つの並行する動きの中にある。そこに住む孤独な老人たちの人生の終わりと、タホ川を見下ろす新しい高級ビルの建設。この地区の小さなカフェには年配の女性たちがよくやって来て、自分たちの人生のささやかな断片をを私に話してくれた。
よだか
The Nighthawk Is Not a Hawk
監督:王俊捷
アニメーション 8分 中国|日本 2023
よだかは醜い鳥であった。ある日、鷹がよだかにその名を返すように迫る。よだかはそれに抗いながら、苦しみの末にこの世界で生きるルールを知る。(原作:宮沢賢治『よだかの星』)
沈黙の言葉に花を捧げ
Śrāvaka
監督:Nina ZHAO
ドキュメンタリー 7分 日本 2024
この作品は、幼馴染めの友達が結婚することをきっかけに、言葉と発話行為と人間関係、人間と居場所と自己認識、また人間と神様と祈願祭式との間に、微妙なバランスを維持しながら、揺れ続けて存在してある相互作用の力場に焦点を定め、改めて「神様に願う」、「神託を聞く」、「沈黙の言葉に花を捧げる」、「生きていく」といった一連の営みの意義について思索した後の試論である。結論に至らず、躊躇いさまのままでエンディングを迎えたように見えるかもしれない。だが、あくまで今の私にとっては、人生、人間関係、祝祭、音のしない神託、信仰、この俗世のあるゆるものはすべて、未熟の心で察知し、感覚し、探求し、楽しんでいくべきものである。
プログラム2(85分)
永遠の月、家族の風景
月見ごこち
To the Moon and Back
監督:李叔芹
アニメーション 8分 中国|日本 2023
私が生まれてから、月は地球を9千125周回っている。その間、私たちはみんな大人になってきたけど、月は永遠に年をとらないようだ。 祖母との交流と、その死を見つめる孫娘の物語。
ナタ川のひまわり
Sunflowers on the Nata River
監督:阮陈金 プロデューサー:阳巧
短編映画 40分 中国|チベット 2023
「ナタ」はチベット語で「湿地」という意味で、草原の端には湿地に囲まれた山がある。この山は「ハアンナカ」と呼ばれていて、チベット語で「鹿が泣く山」という意味を持つ。伝えによると、鹿の群れが天敵に襲われ仲間を失った時、彼らは湿地を越えてハアンナカ山に逃げ込むそうだ。この山は彼らにとって最後の砦であり、祭祀の場でもある。ナタ川は石を叩き、石は子どもたちを囲む。まるで野の花のように、まるで神の子どもたちのように。
うどを植える
監督:阿部修一郎
ドキュメンタリー 33分 日本 2024
春、庭にうどが植えられた。その行為はおそらく、社会の大きな物語に影響を与えない。しかしそれは、我が家の景観や土壌の栄養の配分に、ささやかな変化をもたらす出来事だった。 夏、私は父に幾つか家の過去について質問をした。答えのほとんどは「分からない」「覚えていない」だった。多くの出来事の記憶は、既に消えている。 失われたものたちを、どうすれば残せるのか?本作は失われる住居空間についての記録映画である。
プログラム3(40分)
スリランカの影
伝統
Tradition
監督:Lanka Bandaranayake
ドラマ 10分 スリランカ 2016
ある老女が、花嫁にスリランカの伝統的な宝飾品を身につけさせる。彼女はそれぞれの宝飾品の象徴的な意味を説明し、その意味は花嫁を過去の人間関係へと導いていく。深い傷跡が、伝統的な価値観と現代の生活との対立を浮き彫りにする。花嫁の運命は、どこか儚げである。
悪魔
Demon-Mahasona
監督:Lanka Bandaranayake
ドラマ 9分 スリランカ 2020
老齢の男性が語るには、「マハソナ」という巨大な悪魔が孤立した場所で人間を襲う。マハソナから逃れるためには、犠牲者は彼の足の間を真っ直ぐに歩きながら、マントラを唱えなければならない。 少年の母親は、少年が老人からの話を聞いて帰宅した後、マハソナの霊に憑かれたと思い、マハソナを追い払うための伝統的な儀式「トウィル」を準備する。儀式が行われると、少年はシャーマンの力強い足を目にする。それは、前夜帰宅途中に近所の親戚の足の間で体験した恐怖を思い出させる。
遺産
Inheritance
監督:Lanka Bandaranayake
ドラマ 20分 スリランカ 2021
母親の91歳の誕生日に集まった兄弟たち。しかし、集まりの主な目的は母親の財産に関することだった。その間に、母親は子供時代の無邪気さを思い出しながら、過去を振り返る。会話は次第に辛辣な喧嘩に変わり、彼らは自分たちが本当に何を相続することになるのかに気づかないままでいる。
プログラム4(85分)
南西オデッセイ
山々
Hills
監督:余果
フィルムエッセイ 54分 中国 2023
アルタイ山脈、天山山脈、崑崙山脈を作家が歩く。これは地理的な視点から制作された映画詩である。
山から海へ
From Mountains to Coast
監督:余果
フィルムエッセイ 30分 中国 2022
作家は、幼少期に初めて遠くへ旅した経験をミクロな視点で回想し、曖昧な記憶と現実を「劇中」と「劇外」の両方で組み合わせる。個人の経験を「時代」という大きな経験の中に統合し、改革開放後の中国南西部の山岳地帯から南海岸への人口移動の道筋を描いていく。